
目次
この記事の要約
現場作業で安全靴や長靴型の安全靴を履いている方の、足の甲や指の付け根の痛みについて解説しています。
結論は「つま先が硬いから」だけが原因ではなく、硬い靴底・先芯・靴の中で足が滑るフィットの悪さが重なって、足の甲や指の付け根に負担が集中していることが多い、ということです。
結論
安全靴を長く履いていて足の甲や指の付け根が痛くなる原因は、つま先の硬さそのものではありません。
硬い靴底+つま先の先芯+靴の中で足が前に滑るフィットの悪さ、この3つが重なることで、本来なら足全体に散らばるはずの負担が、足の甲や指の付け根の一部分に集中してしまうことが原因として考えられます。
この文章を書いた人

さかつめ整骨院鍼灸院 院長
坂爪 慶
取得資格
- 柔道整復師
- 鍼灸師
新潟市秋葉区生まれ(旧新津市)
開院60年を超えた整骨院の2代目です。
なぜそう言えるのか

歩くときの足の動きを思い浮かべてみてください。
かかとが地面から離れる瞬間、足の指の付け根がぐっと反りますよね。
このとき動いているのは指の付け根だけではありません。
足の甲の真ん中あたりにも、実は小さな動きが起きています。
足の甲に手を当てて、その場でかかとを上げてみると、甲の部分がわずかに動くのが分かると思います。
つまり足は、一枚の硬い板ではないのです。
いくつもの小さな骨と関節が少しずつ動いて、地面からの衝撃と体重を分散させています。
この足の甲の関節を、専門用語では「リスフラン関節」「ショパール関節」と言います。
ところが安全靴、特に長靴型のものでは、次の4つが重なりやすくなります。
- つま先に入っている硬い先芯
- 厚くて硬い靴底
- 硬い甲の部分
- 足の形に合わせにくい構造
そうすると、歩くときに靴が足の動きについてきません。
かかとが上がる瞬間、足は曲がろうとしているのに、靴が曲がらないという状態になります。
特に、靴が曲がる位置と、ご自身の足の指の付け根の位置がずれていると、この矛盾が大きくなります。
その結果、本来なら足全体に散らばるはずの「曲げる力」「ねじれる力」が、足の甲の一部や指の付け根に集中してしまう可能性があるわけです。
長靴型で起きやすい「足指でつかむ」悪循環

長靴型でもう一つ大きいのが、靴の中で足が動いてしまうことです。
長靴は紐やベルトで締められません。
そのため歩くたびに、こんなことが起きます。
かかとが浮く。
↓
足が靴の中で前に滑る。
↓
脱げないように、無意識に足の指を伸ばして靴をつかむ。
↓
足の前の部分への負担がさらに増える。
この「無意識に指で踏ん張り続ける」というのが曲者です。
一歩ごとにわずかな力でも、現場を一日中歩き回れば相当な回数になります。
先日来院された50代女性の患者さんが、まさにこのパターンでした。
現場でのお仕事で、長靴型の安全靴を履いて一日中歩き回っておられます。
両足の足の甲を中心とした痛みを訴えて来院されました。
足の指を診察・観察してみると、足の動き(可動性)が落ちているだけでなく、足の指の力そのものが低下していました。
脱げないように指を伸ばして踏ん張る動作がずっと続いていたため、足にかなりの負担がかかっていたと考えられます。
こんな症状があれば、神経の圧迫も考えます

足の甲の痛みに加えて、次の3つが揃う場合は、神経が圧迫されている可能性も鑑別に入れます。
- 足の親指と人差し指の間に、しびれや感覚の異常がある
- 足の甲から足首の前面にかけて症状がある
- 安全靴を履いている時間と症状が連動している(履いている日ほどつらい)
足の甲には、足首の前を通って指の間へ向かう神経が走っています。
専門用語では「深腓骨神経」と言います。
この神経は足の甲側から圧迫を受けやすい場所を通っています。
安全靴や長靴の甲の部分が硬く、さらに歩くたびに足が前へ滑ると、足の甲から足首の前面が繰り返し圧迫されることになります。
こうした状態を「前足根管症候群」と呼ぶことがあります。
もちろん、これだけで断定はできません。
ただ、上の3つが揃っているなら、確認しておきたいポイントだと考えています。
足の問題だけで終わらないことがあります

もう一つお伝えしておきたいことがあります。
足への負担が増えた状態が続くと、その影響は足だけにとどまりません。
かばう動きが積み重なって全身の歪みに波及し、別の場所の症状を引き起こしていることがあります。
「足が痛いだけだから」と我慢して履き続けているうちに、腰や膝など思わぬところに不調が出てくる。
これは決して珍しいことではありません。
当院でのアプローチ

実際に履いている靴を持ってきてください
このタイプの症状の方には、普段履いている安全靴を治療院にお持ちいただくことをおすすめしています。
「安全靴を履いていますか?」と伺うだけでは、原因までは分からないからです。
実物を見せていただくと、次のような点を確認できます。
- 先芯がどこまで入っているか
- 靴が曲がる位置と、ご自身の指の付け根の位置が合っているか
- 歩いたときにかかとが浮いていないか
- 足が前に滑っていないか
- 甲の部分が当たって圧迫されていないか
- 中敷きに残った荷重の跡
- 靴底のすり減っている位置
そのうえで、その靴を履いた歩き方と、裸足での歩き方を見比べます。
そうすると、どこに負担が集中しているのかがかなり見えてきます。
施術は全身と足部の両方から
施術は、全身の調整を行いながら、足部の調整を進めていきます。
そして良い状態を維持していただくために、テーピングなどの処置も行っています。
仕事を休めない方がほとんどですから、施術と施術の間をどう持たせるかが大切になります。
先ほどの50代女性の患者さんは、3回ほど施術を行って、症状はかなり軽減しています。
まとめ
長靴型の安全靴による足の甲の痛みは、「安全靴だから仕方ない」で片づけてしまいがちな症状です。
けれど原因は、硬い靴底・先芯・フィットの悪さという組み合わせにあります。
組み合わせの問題である以上、確認すべきポイントがはっきりしていますし、対応できることもあります。
我慢して履き続けると、足だけでなく全身に影響が広がることもあります。
足の甲の痛みでお困りの方は、ぜひ普段お使いの安全靴を持って、お気軽にご相談ください。
実際の靴を拝見することで、原因がぐっと見えやすくなります。
諦めない気持ちが改善への一番の近道です。
【柔道整復師・鍼灸師 坂爪 慶監修】
さかつめ整骨院鍼灸院公式LINE@ページ
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