この記事の要約

肩を回したときに肩甲骨がポキポキ・ゴリゴリ鳴る現象について解説しています。

結論は「猫背などの姿勢のくずれで肩甲骨と肋骨の位置関係がずれ、肩甲骨が肋骨にこすれて音が鳴る」ためです。

肩こりとの関連や、繰り返すと悪化しやすい理由、当院のアプローチまでまとめています。

結論

肩を回したときに肩甲骨がポキポキ・ゴリゴリ鳴るのは、猫背などで姿勢が崩れて肩甲骨と肋骨(あばら骨)の位置関係がずれてしまい、肩甲骨を支える周囲の筋肉が緊張した結果、肩甲骨と肋骨が動くたびにこすれてクリック音(クリッキング)が起きているからです。

肩こりと同じ「姿勢のくずれと筋緊張」という土台から起きている現象なので、肩こりと音は同じ原因の表と裏と考えていただいて問題ないでしょう。

この文章を書いた人

さかつめ整骨院鍼灸院 院長

坂爪 慶

取得資格

  • 柔道整復師
  • 鍼灸師

新潟市秋葉区生まれ(旧新津市)
開院60年を超えた整骨院の2代目です。

なぜ肩を回すと肩甲骨がゴリゴリ鳴るのか?

肩を回したときに鳴っている「あの音」は、肩甲骨と肋骨がこすれて出ている音です。

肩甲骨は背中の上のほうにある三角形の薄い骨で、肋骨(あばら骨)の上に貼り付くように位置しています。

通常、肩甲骨と肋骨の間には筋肉や脂肪組織がクッションのように入っていて、肩を動かしたときに肩甲骨が肋骨の上をなめらかにすべるようにできています。

ところが、長時間のデスクワークやスマホ操作で猫背の姿勢が続くと、背中が丸まり、両肩は前に巻き込まれます。
すると肩甲骨は背中の外側へ引っ張られ、肋骨に対して斜めに乗ったり、浮き上がるように位置がずれたりします。

この状態を専門用語では「肩甲胸郭関節(けんこうきょうかくかんせつ)」のアライメント不良と言いますが、難しく考える必要はありません。

要は、「肩甲骨が本来あるべき位置からずれて、肋骨にうまくフィットしなくなった状態」だとイメージしてください。

この位置ずれが起きると、肩甲骨を支える周囲の筋肉が、肩甲骨を引き戻そう・支えようと過剰に緊張します。

緊張した筋肉は硬くなり、肩甲骨と肋骨の間のすべりが悪くなります。

その状態で肩を大きく回すと、本来なめらかにすべるはずの肩甲骨が、ところどころ引っかかりながら肋骨の上を移動することになります。
このときに「ポキッ」「ゴリッ」「ジャリジャリ」といったクリック音が発生するのです。

医学的にはこれを「スナッピング・スキャプラ(snapping scapula/弾発肩甲骨)」と呼ぶことがあり、決して珍しい現象ではありません。

音が鳴るのは肩こりがきついからなのか?

「ゴリゴリ鳴るから肩こりがきついのですか?」というご質問をよくいただきます。

順番としては、少し違います。

正確に言うと、「肩こりがあるからゴリゴリ鳴る」のではなく、「同じ原因(姿勢のくずれと筋緊張)から、肩こりとゴリゴリ音の両方が起きている」というのが実際のところです。

姿勢が崩れて肩甲骨の位置がずれると、まず肩甲骨周囲の筋肉が常時引っ張られた状態になります。

代表的なところでは、僧帽筋(首から肩、背中にかけて広がる大きな筋肉)、菱形筋(背骨と肩甲骨をつなぐ筋肉)、肩甲挙筋(首の横から肩甲骨の上角に付く筋肉)などです。

これらが常に張った状態になると、いわゆる「肩こり」のだるさや重さとして感じられます。

一方で、同じ姿勢のくずれによって肩甲骨と肋骨のすべりも悪くなるため、動かしたときにゴリゴリと音が鳴ります。

つまり、肩こりと肩甲骨のゴリゴリ音は、別々のトラブルではなく、「同じ姿勢不良という土台」から枝分かれして出てきている兄弟のような関係なのです。

ですから、「ゴリゴリが強い人ほど肩こりも強い」「肩こりが強い人ほどゴリゴリが鳴りやすい」という相関は実際の臨床でもよく見られます。

ただし、音の大きさそのものと肩こりのつらさは、必ずしもイコールではありません。

音はあまり鳴らないのにつらい方もいれば、派手な音が鳴るのに本人はあまり困っていない方もいます。

音の大きさよりも、「肩が重い」「腕が上がりにくい」「背中が張る」といった日常の感じ方のほうが大切な目安になります。

クセになるとなぜ悪化しやすいのか

 

「クセになって、やっているうちに酷くなった気がする」という感覚はとても重要です。

実は、ゴリゴリ鳴らすこと自体に強い快感や、その瞬間スッキリする感覚があります。

これは、関節を急に動かすことで、こり固まった筋肉が一瞬リセットされたように感じるためです。

ところが、ここに落とし穴があります。

まず、ゴリゴリ鳴らすために肩を強く回す動作を繰り返すと、肩甲骨と肋骨の間にある筋肉や、肩甲骨の縁にある軟部組織が機械的なストレスを繰り返し受けることになります。

強い摩擦が日常的に加わると、その部分に微細な炎症が起きやすく、滑液包(かつえきほう/関節や腱のすべりをよくする袋状の組織)が腫れて、さらにすべりが悪くなる悪循環に入りやすくなります。

次に、根本原因である「猫背・巻き肩・筋緊張」はそのまま残っているため、一時的にスッキリしてもすぐに同じ状態に戻ります。
戻ったところでまた鳴らしたくなる、を繰り返すことで、肩甲骨周囲の筋肉はますます緊張に慣れてしまい、硬さが定着していきます。

その結果、

  • 鳴らしてもスッキリしにくくなる
  • 音だけが大きくなっていく
  • 肩こりや背中の張り、腕の上がりにくさが強くなる

という方向に進みやすくなります。

「やればやるほど酷くなった気がする」というご本人の感覚は、まさにこの悪循環を体で感じ取っているサインなのです。

鳴らすこと自体が劇的に身体を壊すわけではありませんが、根本原因を放置したままクセとして続けるのは、改善が期待できる方向とは反対の方向に進んでしまうことが多いと考えてください。

当院でのアプローチ

さかつめ整骨院鍼灸院では、肩甲骨のゴリゴリ音と肩こりを「別物」としてではなく、「同じ姿勢のくずれから来ているもの」としてまとめて考えます。

具体的には、次の3つの視点からアプローチします。

1つ目は、肩甲骨と肋骨の位置関係を整えることです。

猫背や巻き肩によって前に引き出された肩甲骨を、本来の位置に戻していくよう、背中や胸まわりの筋肉のバランスを調整します。

2つ目は、緊張で硬くなった肩甲骨周囲の筋肉(僧帽筋・菱形筋・肩甲挙筋など)の張りをゆるめることです。

ここがゆるむことで、肩甲骨が肋骨の上をなめらかにすべりやすくなり、結果的に音が鳴りにくくなっていきます。

3つ目は、姿勢のくずれを生んでいる土台、たとえば骨盤の傾きや背骨全体の動き、足元のバランスまで含めて全身を診ることです。
肩甲骨だけを動かしても、土台が崩れたままでは同じ場所にまた負担が戻ってきてしまうため、当院では局所だけでなく全身を診る根本治療を大切にしています。

「諦めない気持ちが改善への一番の近道です」を治療方針に、無理な強刺激ではなく、お体に優しい施術で少しずつ整えていきます。

まとめ

肩を回したときに肩甲骨がポキポキ・ゴリゴリ鳴るのは、猫背などの姿勢のくずれで肩甲骨と肋骨の位置がずれ、周囲の筋肉が緊張して、肩甲骨と肋骨がこすれてクリック音が起きているためです。

肩こりとは「同じ姿勢不良という土台」から枝分かれして出てきている兄弟のような関係であり、別のトラブルではありません。
そして、クセで鳴らし続けると、根本原因がそのままなのにストレスだけが繰り返し加わるため、悪化方向に進みやすくなります。

ゴリゴリ音や肩こりが気になっている方は、音を止めることだけを目的にするのではなく、姿勢と肩甲骨まわりの状態をまとめて整えていくことをおすすめいたします。

気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

【柔道整復師・鍼灸師 坂爪 慶監修】

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