目次
この記事の要約
この記事では「腱鞘炎は手首以外の指でも起こるのか」を解説しています。 結論として、腱鞘炎は手首だけでなく指の関節にも起こります。 原因は指の使いすぎだけでなく、肩・肘・手首の筋出力の低下、姿勢の崩れ、更年期女性のホルモンバランスの変化など、全身の状態が関わっています。 症状が多発する方や痛みが重い方は、婦人科の受診もご検討ください。
結論
はい、腱鞘炎は手首だけでなく、親指の付け根や指の関節にも起こります。
原因は指の使いすぎだけでは説明しきれません。 肩・肘・手首の筋肉がうまく働かないことで指への負担が増え、症状として現れているケースが非常に多いのです。 さらに更年期の女性は、ホルモンバランスの変化によって腱鞘炎を発症しやすくなることも知られています。
「指だから整骨院ではなく整形外科では?」と思われるかもしれませんが、姿勢や全身の状態が引き金になっている指の腱鞘炎は、当院のような全身を診る施術所のほうが改善しやすい場合があります。
この文章を書いた人

さかつめ整骨院鍼灸院 院長
坂爪 慶
取得資格
- 柔道整復師
- 鍼灸師
新潟市秋葉区生まれ(旧新津市) 開院60年を超えた整骨院の2代目です。
なぜ指にも腱鞘炎が起こるのか

腱鞘炎というと「手首の病気」というイメージを持たれている方が多い症状です。
しかし実際には、指の関節にも腱鞘炎は起こります。 ここで簡単に身体の仕組みからご説明します。
腱(けん)とは、筋肉と骨をつないでいるロープのような組織のことです。 そして腱鞘(けんしょう)は、その腱を包み込んでいるトンネル状の組織を指します。 私たちが手首や指を動かすたびに、腱は腱鞘の中をなめらかにスライドして動いています。
ところが、このスライド運動が繰り返されすぎたり、腱や腱鞘自体がむくんで太くなったりすると、腱と腱鞘の間に強い摩擦や引っかかりが起こります。 この摩擦による炎症が、いわゆる「腱鞘炎」です。
そして、腱と腱鞘は手首だけでなく、指の付け根から指先まで何本も走っています。 ですから、指にも同じ仕組みの炎症が起こります。
代表的なものでは、親指の付け根に痛みが出る「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」や、指がカクンと引っかかって伸ばすときにばねのように戻ってしまう「ばね指(弾発指)」が知られています。 どちらも腱鞘炎の一種です。
朝起きたときに指がこわばる、何かを握ろうとすると痛い、指の付け根が腫れぼったい、といった症状は、指の腱鞘炎を疑うサインです。
指の腱鞘炎を引き起こす3つの原因

指の腱鞘炎は「指の使いすぎ」だけが原因とは限りません。 当院でこれまで多くの方を診させていただいた経験では、次の3つの要素が複合的に絡んでいることがほとんどです。
原因① 指そのものの使いすぎ
これは想像しやすい原因です。 スマートフォンの長時間操作、パソコンのキーボード入力、家事や育児で繰り返される動作、手芸や楽器演奏、農作業などが当てはまります。
特に親指は、スマートフォンの片手操作で酷使されやすい指です。 同じ動作を一日中繰り返すことで、腱と腱鞘の摩擦が増え、炎症の引き金になります。 最近では、お子さんを抱っこする動作の繰り返しから親指の付け根が痛くなる「産後のドケルバン病」のご相談も増えてきました。
原因② 肩・肘・手首の筋出力の低下と姿勢の崩れ
これは意外に思われるかもしれませんが、実は非常に多い原因です。
肩や肘、手首の筋肉が本来発揮できる力をうまく発揮できていないとき、指がその分の負担を肩代わりすることになります。
例えば、猫背気味で背中が丸まっている方を思い浮かべてみてください。 肩が前に巻き込まれた姿勢になると、肩や腕の筋肉はうまく働きにくくなります。 すると、本来「腕全体」で支えるべき動作を「指先」だけで処理しようとするため、指への負担が一気に増えます。
つまり、姿勢の崩れから始まった上半身全体の筋出力の低下が、最終的に指に症状として現れる、というケースが多く見られます。
このパターンの方は、指だけを治療しても改善しにくい傾向があります。 逆に言えば、姿勢や肩まわりが整うと、指の症状もすっと軽くなることがあるのです。
原因③ 更年期女性のホルモンバランスの変化
更年期にさしかかった女性に腱鞘炎が多発することは、医学的にもよく知られています。
これは、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌量が減ることが関係しています。
エストロゲンには、腱や腱鞘の柔軟性を保ち、むくみを起こしにくくする働きがあると言われています。
更年期に入ってエストロゲンが減少すると、腱や腱鞘がむくみやすくなり、硬くなります。 その結果、同じ動作量でも炎症が起こりやすい状態になるのです。
このため、「特別な使いすぎはないのに、急に指が痛くなった」「片方の指が治ったと思ったら別の指が痛くなった」「両手の複数の指に症状が出ている」という方は、ホルモンバランスの影響を疑う必要があります。
また、産後や授乳期もホルモンバランスが大きく変化する時期で、同じく腱鞘炎が発症しやすくなります。
さかつめ整骨院鍼灸院でのアプローチ

当院では、指の腱鞘炎を訴えて来院された方に対して、指だけを診ることはしません。
ここまでお伝えしてきたとおり、指の症状の背景には肩・肘・手首・姿勢、さらには全身の状態が関わっていることが多いからです。
まずは姿勢の状態を確認します。 猫背・巻き肩の有無、骨盤の傾き、首の前方への変位などを評価していきます。
次に、肩・肘・手首の動きと筋出力を一つひとつチェックします。 本来出るはずの力が出ていない箇所を見つけ、整体や鍼灸でその部位の働きを取り戻していきます。 そのうえで、指そのものの炎症部分にも丁寧にアプローチします。
このように、局所だけでなく全身のバランスを整えることで、指への負担そのものを減らすことを目指します。 痛みの根本原因を見極めて施術することで、改善が期待できる方が多くおられます。
ただし、複数の指に同時に症状が出ている方や、痛みが強く日常生活に支障が出ている方の場合は、ホルモンバランスの影響が大きい可能性があります。 このような方には、施術と並行して婦人科の受診をおすすめしています。
更年期症状そのものへのアプローチが、結果として腱鞘炎の改善にもつながるケースがあるからです。
整骨院だけ、婦人科だけ、と一つに絞らず、「身体の状態に合わせて必要なものを組み合わせる」という考え方がとても大切なのです。
まとめ

腱鞘炎は手首だけの病気ではなく、指にも起こります。 そして、その原因は「指の使いすぎ」だけでは説明しきれないことが多いのです。
特に押さえていただきたいのは次の3点です。
指の使いすぎだけでなく、肩・肘・手首の筋出力の低下や姿勢の崩れが、指の腱鞘炎の引き金になります。
更年期女性は、ホルモンバランスの変化によって腱鞘炎を発症しやすくなります。
複数の指に症状が出る方、痛みが重い方は、婦人科の受診も視野に入れてください。
「指の痛みだから整骨院に行くのはちがうのでは?」と感じる方もおられるかもしれません。
しかし、上半身全体や姿勢が原因になっているケースが非常に多いため、お一人で抱え込まずにぜひご相談ください。
当院では、お身体全体のバランスから指の症状を整えるサポートをいたします。
【柔道整復師・鍼灸師 坂爪 慶監修】
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