
この記事の要約
この記事では「熱がなければ背骨の感染症は否定できるのか」について解説しています。
結論は「否定できません」です。
背骨の感染症(化膿性脊椎炎)は、熱が出ない方が3〜5割いると言われています。
糖尿病や透析など感染しやすい体の状態で、じっとしていても引かない腰痛が続く方は、熱がなくても検査を受けてください。
結論
「熱がないから、感染症ではない」とは言えません。
背骨に細菌が入って炎症を起こす病気を、化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)と言います。
この病気は、熱が出ない方が3〜5割いると言われています。
特にご高齢の方は熱が出にくいため、熱の有無で安心することはできないのです。
糖尿病のコントロールが悪い方、透析を受けている方、ステロイドを長く使っている方、がんの治療中の方で、安静にしていても引かない腰痛が続いている場合は、熱がなくても数日以内に医療機関で検査を受けてください。
この文章を書いた人

坂爪 慶(さかつめ けい)
取得資格:柔道整復師/はり師/きゅう師(国家資格)
新潟県新潟市のさかつめ整骨院鍼灸院院長
新潟市秋葉区生まれ(旧新津市)
1997年から施術に携わり、整形外科での勤務を経て、2017年12月にさかつめ整骨院鍼灸院を開業しました。
痛いところだけを見るのではなく、立ち方や座り方、体の傾きまで含めて原因を一緒に探すことを大切にして施術を行っています。
なぜ熱が出ないことがあるのか

感染症と聞くと、まず熱を思い浮かべますよね。
確かに熱があれば、感染症を疑う強い手がかりになります。
しかし背骨の感染症では、熱を伴わない例が3〜5割あると言われています。
背骨の感染症は、体の奥深くで起こるため、外からはわかりにくく、熱も出ないことがあります。
そのため、普通の腰痛と間違われやすい病気です。
熱の出方の違いは、進む速さでも説明がつきます。
風邪やインフルエンザは、数日で一気に広がります。
だから体も一気に反応して、熱という形で表に出ます。
背骨の感染症は、何週間もかけてゆっくり進みます。
体が一気に反応する場面がないまま、静かに進んでいきます。
そこに、もともと熱を出す力が弱い状態が重なります。
ご高齢の方、糖尿病の方、透析を受けている方、ステロイドを使っている方。
熱を出すという反応そのものが起きにくいのです。
だからご高齢の方ほど、熱という手がかりは当てになりません。
熱があれば疑う。
これは正しいのですが、熱がないから大丈夫、とはならないのです。
そして条件がそろえば、決して珍しい病気ではありません。
感染しやすい体の状態とは

背骨の感染症は、誰にでも同じ確率で起こるわけではありません。
体の守る力が落ちている方に起こりやすい病気です。
具体的には、次のような方です。
- 糖尿病があり、血糖値のコントロールがうまくいっていない方
- 透析を受けている方
- ステロイドを長期間使っている方
- がんの治療中の方
さらに、細菌が体に入るきっかけがあった方も注意が必要です。
背骨への注射(硬膜外注射など)や背骨の手術を最近受けた方、透析などで血管に針を入れる機会が多い方、膀胱炎などの尿路感染症を繰り返している方です。
ここで大事なのは、背骨そのものを傷つけて起こる病気ではないということです。
口の中、尿の通り道、皮膚、点滴の針の跡。
どこかから血に入った菌が、流れに乗って背骨までたどり着き、そこで住みつきます。
ですから「腰をぶつけた覚えがない」ことは、この病気を否定する理由になりません。
むしろ、思い当たるのは数週間前の別の出来事だった、ということがあります。
原因になる菌は黄色ブドウ球菌が最も多く、結核が背骨に来ることもあります。
熱ではなく、何を手がかりにするのか

私は同業の先生方に、見逃してはいけない腰痛の講座を行っています。
熱の出ない背骨の感染症は、その中でも欠かせない話です。
熱が使えないとき、手がかりは2つになります。
体の背景と、痛みの性質です。
体の背景は、ここまでに挙げたものです。
糖尿病、透析、ステロイド、がんの治療中。
そして数週間以内の尿路感染や歯の治療、注射や手術。
痛みの性質は、こう見ます。
安静にしても引かない。夜も痛みで目が覚める。
姿勢を変えても、揉んでも、痛む場所が逃げない。
もうひとつ、施術所でできる確かめ方があります。
痛む背骨の場所を、指先で軽くたたいてみる方法です。
筋肉の痛みは、押すと痛む範囲がぼんやり広がります。
骨の中で炎症が起きていると、そこだけが一点、たたいた振動に強く響きます。
「押して痛い」ではなく「たたくと一か所だけ響く」。
この違いが手がかりになります。
こんな覚えはありませんか。
横になっても痛みが引かず、夜中に目が覚める。
姿勢を変えても、揉んでもらっても、痛む場所が変わらない。
数週間前に、歯の治療を受けた。膀胱炎の薬を飲んだ。
でも熱はない。だから様子を見ている。
熱ではなく、体の背景と痛みの性質。
この2つで判断する病気です。
熱がなくても疑うサイン
まとめると、次の3つが重なったときは、熱がなくても背骨の感染症を疑います。
1つ目は、感染しやすい体の状態があること。
糖尿病、透析、ステロイド、がん治療中のいずれかです。
2つ目は、じっとしていても痛みが引かないこと。
動くと痛いだけでなく、安静時も夜間も痛みが続きます。
3つ目は、痛む場所を軽くたたくと、そこだけ強く響くこと。
この3つがそろえば、数日以内に整形外科か内科で検査を受けてください。
足のしびれや力の入りにくさが出てきた場合は、数日を待たずにすぐ受診が必要です。
当院でのアプローチ
当院では、初めていらした方に持病と最近の通院歴を毎回お聞きしています。
糖尿病や透析、ステロイドの使用がある方の腰痛は、熱の有無にかかわらず慎重に診ています。
安静でも引かない痛みと、たたいたときの響きがあれば、施術で様子を見るのではなく、先に医療機関での検査をおすすめしています。
感染症は早く見つかるほど、その後の負担が小さいと考えられているからです。
まとめ
熱がないからといって、背骨の感染症は否定できません。
熱が出ない方が3〜5割いて、ご高齢の方はさらに熱が出にくいからです。
糖尿病・透析・ステロイド・がん治療中のいずれかがあり、安静でも引かない腰痛が続くなら、熱がなくても数日以内に検査を受けてください。
症状によっては医師の診察が必要な場合があります。
病院での検査が先になる腰痛は、ほかにもあります。
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【柔道整復師・はり師・きゅう師 坂爪 慶監修】
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