
この記事の要約
この記事では「自分の腰痛は病院に行くべきかどうか」を見分ける10のチェックについて解説しています。
結論は「10項目のうち1つでも当てはまれば、施術より先に医療機関で検査を受けてください」です。
特にトイレの異常と両足の力の入りにくさは、その日のうちに救急外来へ行く目安になります。
結論
腰痛の多くは、整骨院で施術できる「筋肉や関節の腰痛」です。
しかし、その中にごく一部、病院での検査が先になる腰痛が混じっています。
この記事の10のチェックは、当院が初めての方の腰痛を診るときに実際に確認している項目です。
1つでも「はい」があれば、施術より先に医療機関での検査をおすすめします。
そして3番と8番に当てはまる場合は、翌日を待たずに救急外来へ行ってください。
この文章を書いた人

坂爪 慶(さかつめ けい)
取得資格:柔道整復師/はり師/きゅう師(国家資格)
新潟県新潟市のさかつめ整骨院鍼灸院院長
新潟市秋葉区生まれ(旧新津市)
1997年から施術に携わり、整形外科での勤務を経て、2017年12月にさかつめ整骨院鍼灸院を開業しました。
痛いところだけを見るのではなく、立ち方や座り方、体の傾きまで含めて原因を一緒に探すことを大切にして施術を行っています。
腰痛の約10%は、整骨院で施術してはいけない腰痛です

腰痛のおよそ9割は、原因をひとつに特定できない「筋肉や関節の腰痛」と言われています。
こちらは整骨院で施術できる腰痛です。
残りの約1割に、見逃してはいけない病気が隠れています。
背骨の骨折、背骨の感染症、がんの転移、お腹の太い血管の病気、そして神経が強く圧迫される病気です。
私は整形外科に5年半勤務し、その後も整骨院で多くの腰痛を診てきました。
その中に、いまでも忘れられない腰痛があります。
25年以上前、整形外科に勤めていたころのことです。
訴えは「ずっと腰が痛い」「横になっても腰がうずく」でした。
最初のレントゲンでは、年齢相応の変化のほかに異常はありませんでした。
そのため「よくある腰痛」として、リハビリが始まりました。
ところが、楽になる姿勢がありません。
痛み止めもほとんど効きません。
どの動きでも痛みが変わらず、じわっとした痛みが続いていました。
さらに、体重が少しずつ減っていました。
がんの治療を受けたことがない方だったので、私はがんを考えていませんでした。
3か月経っても変わらず、もう一度レントゲンを撮ったところ、背骨に腫瘍が見つかりました。
CTとMRIで確定診断となりました。
このとき学んだのは、がんの治療歴がなくても起こるということです。
下の10項目の2番(がんの治療歴)は強い手がかりですが、「既往がないから違う」とは言えません。
だから1番(夜間の痛み)と10番(4〜6週間続けても良くならない)を、別の質問として並べています。
休んでも引かない痛みが、何週間も変わらない。
この組み合わせだけで、検査に進む理由になります。
腰痛を「いつもの腰痛」と決めつけないための質問が、これから紹介する10項目です。
10のセルフチェック

次の10項目を、「はい」「いいえ」で確認してみてください。
- 夜中に腰の痛みで目が覚める、または横になってじっとしていても痛みが引かない
- 50歳を過ぎてから初めて出た腰痛で、これまでにがんの治療を受けたことがある(治っていると言われていても含みます)
- 尿が出にくい、我慢できない、または便が漏れるといったトイレの異常が腰痛と一緒に出ている
- 70歳以上、または骨粗しょう症と言われたことがあり、転んだ・重い物を持ったなど小さなきっかけで急に腰が痛くなった
- ステロイドの飲み薬を3ヶ月以上続けている(アトピー・リウマチ・膠原病などの治療で)
- 腰痛と一緒に熱がある。または糖尿病・透析・免疫を抑える薬など、感染しやすい体の状態がある
- 60歳以上で、たばこを吸う習慣があり、腰や背中の奥が突然強く痛くなった
- 両方の足にしびれや力の入りにくさが出てきて、それが日ごとに進んでいる
- ダイエットをしていないのに、半年で体重が5%以上(例えば60kgの方で3kg以上)減っている
- 施術やセルフケアを4〜6週間続けても、腰痛がよくならない
「はい」が1つでもあれば、施術の前に病院で検査を受けてください。
3番と8番は、神経が強く圧迫されている病気のサインです。
この病気は24〜48時間以内の手術が必要になることがあるため、「様子を見る」は危険です。
翌朝を待たずに救急外来を受診してください。
それぞれの質問が見ているもの

10の質問は、5つの病気を見つけるためのものです。
1番と9番と10番は、がんの転移や腫瘍を見ています。
夜間痛、体重減少、良くならない痛みが重なるほど、検査の優先度が上がります。
2番のがんの治療歴は、それ単独でも強い手がかりになります。
筋肉や関節の痛みは、体を動かしたときに出て、休むと引きます。
体の都合に合わせて、増えたり減ったりするものです。
ところが骨の中で起きている痛みは、姿勢や動きと関係なく続きます。
「休んでも楽にならない」というのは、痛みの出どころが筋肉ではないかもしれない、という合図です。
こんな覚えはありませんか。
布団に入って体を楽にしているのに、じっとしていても痛い。
痛みで目が覚めて、起きて座っているほうが楽だった。
ダイエットをしていないのに、ベルトの穴が2つ分ゆるくなった。
4番と5番は、背骨の骨折を見ています。
骨がもろくなっていると、尻もちをつかなくても背骨はつぶれます。
ステロイドを長く使っている方は、40代でも起こることがあります。
骨がもろくなった背骨は、中がスカスカになった発泡スチロールに似ています。
外から見た形は変わらないのに、上から体重がかかると少しずつ潰れていきます。
「折れる」というより「つぶれる」と言ったほうが近い壊れ方です。
だから、転ばなくても起こります。
こんな覚えはありませんか。
くしゃみをした拍子に。布団から起き上がろうとして。お孫さんを抱き上げて。
「転んでいないから骨は大丈夫」と思っているうちに、背中が丸くなって、身長が縮んできた。
6番は、背骨の感染症を見ています。
意外に思われるかもしれませんが、背骨の感染症では熱が出ない方が3〜5割いると言われています。
「熱がないから感染ではない」とは言えないのです。
背骨の感染症は、体の奥深くで起こるため、外からはわかりにくく、熱も出ないことがあります。
そのため、普通の腰痛と間違われやすい病気です。
血に乗って運ばれた細菌が、背骨に入り込んで炎症を起こす病気です。
ですから「腰をぶつけた覚えがない」ことは、否定する理由になりません。
こんな覚えはありませんか。
歯の治療を受けた。尿路の感染で薬を飲んだ。点滴や注射を受けた。
そういう数週間前の出来事と、いまの腰の痛みが、自分の中では結びついていない。
7番は、お腹の太い血管(腹部大動脈)のふくらみや裂けを見ています。
60歳以上で喫煙歴のある方は、腰や背中の奥の突然の痛みに注意が必要です。
お腹の奥には、心臓から足へ血を送る太い管が、背骨のすぐ前を通っています。
長年の喫煙や高血圧で管の壁がもろくなると、そこが風船のようにふくらみます。
背骨のすぐ前にあるので、その壁が傷みはじめると、お腹ではなく腰や背中の奥が痛みます。
こんな覚えはありませんか。
腰を揉んでも、押しても、痛む場所が変わらない。
体勢を変えても痛みが逃げない。
いつもの腰痛と、痛み方がまるで違う。
3番と8番は、先ほどの神経の圧迫(馬尾症候群)を見ています。
10項目の中で、いちばん急ぐのがこの2つです。
腰の下の方にある神経は、馬のしっぽのように束になっています。
この束がまとめて押さえられると、足とおしりに加えて、膀胱や腸を動かす神経まで、一度に働きを失います。
片足ではなく両足に出るのは、束ごと押さえられているからです。
こんな覚えはありませんか。
トイレに行ったのに、出きった感じがしない。
下着が濡れていたのに気づかなかった。
自転車のサドルが当たるあたりの感覚が、座布団を一枚はさんだように鈍い。
両足に同じように力が入らず、階段を踏み外しそうになった。
この2つは、翌朝を待たずに救急外来です。
時間が経つほど、神経の回復が難しくなります。
当院でのアプローチ
当院では、初めて腰痛でいらした方に、この10項目をお聞きしてから施術を始めています。
「はい」があれば、施術で様子を見るのではなく、先に医療機関での検査をおすすめします。
これは「診られない」と突き放すためではありません。
検査で問題がないと分かれば、そこから安心して施術に取り組めるからです。
そして万が一問題があった場合、早く見つかることが何よりの治療になります。
まとめ
腰痛の約1割には、病院での検査が先になる病気が隠れています。
10のチェックで「はい」が1つでもあれば、まず医療機関で検査を受けてください。
トイレの異常と両足の進行するしびれは、その日のうちに救急外来です。
この記事は受診の目安をお伝えするもので、症状によっては医師の診察が必要な場合があります。
それぞれの病気については、こちらの記事で詳しく解説しています。
整骨院では施術できない腰痛がある?当院が病院をおすすめするとき
夜中に腰の痛みで目が覚めるのは危険?病院に行くべき夜間痛の特徴
尻もちをつかなくても背骨は折れる?気づかないうちに起きる圧迫骨折のサイン
腰痛に足のしびれとトイレの異常が重なったら?救急車を呼ぶべき腰の病気
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【柔道整復師・はり師・きゅう師 坂爪 慶監修】
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